ご挨拶
2020年、新型コロナウイルス感染症により私たちの日常は劇的な変化を迎えることになりました。
医療従事者は、自らも感染の不安に向かいながら、病院で、施設で、在宅で、それぞれの場所で感染対策を行いながら、大規模な災害である新型コロナウイルス感染症に取組みました。医療の現場は疲弊し、看護師たちは自分たちの看護ができないと嘆くことになりましたが、すべての看護師が「自分の目標とする看護」を考える機会になったのではないでしょうか。
患者・家族のニーズを考えつつ、「未知の感染症」に立ち向かい自分自身が置かれている状況に不安や戸惑いがある中で、すべての医療従事者が手探りでそれぞれの役割に取組んできました。すべての分野の高度実践看護師は、それぞれの分野や立場で役割を果たすことに邁進し、時に反省・再考し実践してきたことと思います。
新型コロナワクチン接種により劇的な変化は求めないまでも、コロナ以前の日常に戻りつつあります。看護の現場は、単純に元の状況に戻ればいいのではなく、あらためて人のいのちや生活を支える看護とはどのようなことか、必要な看護を創造又は創出してもいいのではないでしょうか。
そこで、第9 回日本 CNS 看護学会では、メインテーマを「新しい生活をささえる高度実践看護の創出」とし、今回の私たちの経験を振り返り、看護が何を求められ、専門看護師をはじめとした高度実践看護師が展開する看護を可視化することで、二度とあってほしくない危機や困難がまた発生した場合に、すべての看護師が立ち向かえるような考える機会をつくりたいと思います。
第9回日本CNS看護学会
大会長 高野 八百子
(慶應義塾大学病院 感染制御部/感染症看護専門看護師)